日本大学豊山高等学校が、例年学校単位で実施している芸術鑑賞教室が文京シビックホール・大ホールで行われました。
長唄三味線の芳村伊十冶郎さんの母校であり、伊十冶郎さんは吹奏楽部で活躍していたそうです。当時からご縁のある先生よりご本人に「伝統芸能で芸術鑑賞教室を行いたい」旨のお話があり、その制作をお引き受けした次第です。
全校生徒1300人を超えるマンモス男子校…普段馴染みのない男子高校生たちに長唄をいかに聴かせるか…企画から演出に至るまで、さまざまなアイデアを出し合いつつ当日を迎えました。
1.幕前での「大薩摩」演奏
2.幕前での挨拶
➡ご自身の高校時代の思い出なども含めつつ
3.長唄・三味線&囃子レクチャー
➡楽器を演奏する手元や表情をカメラで追い、背景のホリゾント幕に投影することで後方や二階席の生徒にも全容が見える工夫
4.長唄・囃子「元禄花見踊」演奏
➡長唄三味線を稽古している生徒がおり、事前稽古の上、一緒に舞台で共演
③同様、手元や表情を投影
5.芳村伊十冶郎vs日大豊山高校吹奏楽部…競演
➡これも③同様、カメラで部員の演奏する姿を追い、後方に投影
6.幕前での「勧進帳」説明
➡黒幕に「勧進帳」の浮世絵などを投影しつつ演目の説明
7.長唄・囃子「勧進帳」演奏
➡松羽目を吊り、本格的な舞台で長唄五挺五枚、囃子方六名の編成で演奏
8.生徒会長より挨拶と芳村伊十冶郎よりメッセージ
「元禄花見踊」の後、15分の休憩は挟んだものの、トータル2時間近くを要しましたが、私語もなくほとんどの生徒が舞台に集中してくれていたことにホッとした次第です。
伊十冶郎さんほか出演者の皆さんの、「何とか伝えたい!」という熱量、そして普段全く馴染みがないであろうジャンルに向き合うことになる生徒に寄り添う姿勢が、いわゆる伝統芸能に付きまとう負の先入観からの解放につながったのではないかと思っています。
非常にタイトな条件の中、こうした思いを舞台上で形にして下さった岡田舞台の皆さまには只々感謝の一言です。
公演後に偶然知り合いの生徒と出会い、印象を聞いたところ「むちゃくちゃ面白かった!」とのこと。
とても後味の良い学校公演でした。