古典空間の理念

“伝統”芸能 “古典”芸能

“伝統”芸能 “古典”芸能……芸能の上に重い冠のような言葉を載せているゆえか、今や日常生活にはほど遠い存在として、あえて踏み込まないと出逢えないジャンルになっています。

私たちはそんな現実と向き合い、まずは「伝統」と「古典」という意味と価値に共感しつつ、その共感を社会全体と共有することが未来への出発点なのではないかと考えています。

『伝統』とは「何らかの価値観を共有する者の中で、有形、無形を問わず受け継がれ、未来に向けて受け渡してゆく意味や価値のある事象」であり、『古典』とは「過去に生まれた優れた表現や作品で、時を経ても、場所や言語が異なっても、受けとめた人間の胸に響き、明日の糧として昇華するもの」と私たちは解釈しています。

義太夫節 床本

義太夫節 見台

つまり、『伝統』と『古典』という言葉こそ、今と未来に向って生きる私たちがしっかりと心に刻んで余りある素晴らしい価値を持っているのではないでしょうか。

そんな素敵な言葉と一体の芸能を、いかにカッコよく、楽しく、おもしろく、しかも継続的に世に問い続けられるか、これこそ私たちが最も大切にしている理念なのです。

〜伝統文化の「再現」に留まらず、時代のフィルターを通して、明日への活力に資する芸能として「再生」させたい〜伝統文化、そして伝統に立脚した思考が、社会を変える力を有していることを信じ、その具体的かつ現実的方法を日々の実験と実践を通して探し続けたい、と私たち『古典空間』は考えています。

ちなみに、音楽・演劇・舞踊・演芸・郷土芸能…すべてのジャンル、芸能を包括的に捉える場合、固定化した表現・作品などを指す傾向のある「古典」よりも、意味において“間口・奥行き”を感じる「伝統」という言葉がふさわしいと考えて、私たちは「伝統芸能」を用いています。

※例えば、「次回の演奏会は、古典作品と創作作品の二本立てで構成…」などと日常では言われています。

古典舞踊『小鍛冶』 (稲荷明神:市山松扇)

創作舞踊『御柱祭』 (弧の会)