9月25日(土)東京文化財研究所にて、<シリーズ 新型コロナウイルスと無形文化遺産 フォーラム1「伝統芸能と新型コロナウイルス」>が行われました。
今回のコロナ禍が無形文化遺産に与える影響について、特に伝統芸能ジャンルに顕在化している多大な影響といかに対峙するかが大きなテーマ。
先が見通せない状況下、“withコロナ”の中で「新たな伝統芸能の様式を生み出すため」 には、現状の把握と分析こそ必要という背景からフォーラム開催に至ったとの事です。
以下のリンクよりご覧いただけます。
フォーラム1
講演 宮田繁幸氏「コロナ時代の伝統芸能 求められる官の役割 」(東京文化財研究所客員
研究員)
話題提供 前原恵美氏「伝統芸能と新型コロナウイルス 数字と現状-」
「株式会社東京和楽器について」(東京文化財研究所 無形文化財研究室長)
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事例紹介 ① 能楽シテ方の立場から 国・重要無形文化財保持者(総合認定)観世銕之丞氏
事例紹介 ② 能楽シテ方の立場から 国・重要無形文化財保持者(各個認定)大槻文藏氏
~事前収録~
事例紹介 ③ 能楽の企画・制作の立場から 国立能楽堂 企画制作課企画制作係長 大貫誠之氏
事例紹介 ④ 能楽を支える技の立場から 伝統芸能の道具ラボ 主宰 田村民子氏
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事例紹介 ⑤ 邦楽演奏家の立場から 長唄三味線/ 国・重要無形文化財 保持者
(各個認定)今藤政太郎氏~事前収録~
事例紹介 ⑥ 邦楽演奏家の立場から 箏曲/正派邦楽会副家元 奥田雅楽之一氏
事例紹介 ⑦ 邦楽の企画・制作の立場から 伝統芸能企画制作オフィス 古典空間 小野木豊昭
事例紹介 ⑧ 邦楽を支える技の立場から 邦楽器糸 株式会社 丸三ハシモト 橋本英宗
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座談会 観世銕之丞氏、田村民子氏、奥田雅楽之一氏、
光安慶太(全国邦楽器組合連合会理事長)、小野木豊昭、進行:前原恵美氏
今回のコロナ禍に接して、邦楽の現場の事例と対応、また今後への展望についての所感などを述べていただきたいというご要望をいただき、現況をお伝えし、次の段階に歩を進める意味でも貴重な機会と受けとめて登壇させていただきました。
研究に携わる立場、演じ手、道具や楽器の制作など芸能を支える立場、制作者…それぞれの立ち位置からのリアルな現状報告、斯くあるべきという強い要望、伝統文化の本質に触れる力あるメッセージが続きました。既にお茶を濁して済ます段階ではなく、本気で本質に触れざるを得ない段階であることを、参加された皆さまと共有できる緊張感に満ちたフォーラムでした。
現代社会の中で伝統文化が抱えている課題は、“Beforeコロナ”も“Afterコロナ”も変わりません。その課題が今回のコロナ禍で更に顕在化したに過ぎないとも言えましょう。
日本という風土や人々に流れる気質、制度や法律、そして組織の慣例や体質などから目を逸らさず向き合うこと…文化に対する「意識改革」と「構造改革」は待ったナシです。