琉球舞踊・重踊流の“求心力”

琉球舞踊・重踊流「志田房子・真木の会」が6月30日(金)、国立劇場・小劇場にて満席の盛況裡の中、無事終了しました。

お二方が、閉場する国立劇場への感謝の思いを伝え、真木さんの本年第七十三回芸術選奨文部大臣賞受賞を記念する会として挙行されました。
第一部は真木さん房子先生による古典舞踊、そして真木さんが「~琉球舞踊のための~黒髪」(本條秀太郎編曲)を本條先生の演奏で舞われました。第二部は創作舞踊を中心に構成されており、一部の心地良い緊張感に対して、琉球文化を心底体感できる只々楽しい組み立てでした。その中で房子先生による雑踊り「浜千鳥」、そして房子先生ご自身が手がけられた「ゆがふ(世果報)」…先生の圧倒的な存在感と品格、そして“えも言われぬチャーミングさ”に満ちた踊りにいつもながら心奪われました。琉球舞踊期待の若手、重踊流ご一門の皆さんの熱演も伝わって、客席から文字通り熱い手拍子が最後まで鳴り止みませんでした。
房子先生のお創りになる舞台…そして重踊流の皆さまが体現なさる舞台は、沖縄の歴史と連綿と伝承される琉球文化が、飾ることなく“直截的かつ素直”に表現されているといつも感じます。踊ることの本質と品格を失わずにしっかりエンターテイメントとして成立している…日本舞踊も含めて他の舞踊会とは“異質”に感じる背景こそ、「今と未来に向けて、誰のために何を伝えたいか」が明確だから…に他ならないと思っています。身体表現の底にある作り手・踊り手の思いへの共感が、強い求心力を生み出しているのではないでしょうか。
今回は、表方としてご来賓のお迎えなどのお手伝いを仰せつかりましたが、こうした舞台に接することができ、携われた事を心から嬉しくも有難くも受けとめた次第です。
 

古典女踊り『伊野波節(ぬふぁぶし)』 志田真木

古典女踊り『作田(つぃくてん)』  志田房子