「令和5年度公益社団法人全国公立文化施設協会 研究大会」が、
初日、〈分科会1〉「指定管理者制度の現状課題とその解決に向けての提案の経過報告」では、中川幾郎先生による基調講演「指定管理者制度と公立劇場経営を考える視点」が深く刺さりました。
現行の指定管理者制度の“本来的”解釈と今日の現状を再確認、再認識し、その問題点を改めて指摘。まさに公立ホールの運営に携わる方々への叱咤激励=エールと私には感じられました。
2日目の〈分科会3〉「これを聴けばわかる!中小規模館における若手の人材戦略」。
公文協の新たな体制の下に生まれた経営環境部会に参加されている各地施設の若手担当者の方々を中心に、現代の公共ホールが抱える諸問題の改善・解決に向けてその一歩がなかなか踏み出せない背景を、現場の視点から現状分析するというものでした。前日に中川先生が指摘された課題に対して、「大局の把握」と「現場における具体的な取組みのあり方」が伝わる文脈を感じる非常に有意義な内容で、発表を伺っていて気持ちが昂りました。
伝統芸能は、歌舞伎ほか一部のジャンルを除いて、“興行”として成り立たせることは既に困難と言えましょう。従って、広く伝統文化にとって、公共の文化事業こそ“最大最良のパートナー”であると断言できます。ゆえに公共施設の皆さんが抱えている現状を身をもって知り、理解に努めることが不可欠であると感じ、2月の研修会には2002年より、各地域で6月に開催される研究大会にはこの10年程、必ず出席することにしています。
「集客=採算」を目的とする事業も必要です。しかし、芸能の「未来への伝承」自体が、演じ手側も受皿としての社会も危機的状況を迎えている現在、地域や施設の“顔”に相応しい芸能や演じ手を、方法を吟味しつつ継続的に提示し続けることが喫緊の課題であることは間違いないと考えています。