2月5日

ドイツの文化相が「人間の生命維持装置」と位置付けた文化が、感染症流行という災疫により停止の止む無きに至ったことは、現代社会を生きる私たちにとって経験値のない出来事です。影響は計り知れなく、時の経過と共にその傷跡はさらに顕在化するでしょう。私たちは制作者の立場で、一刻も早い常態への回復に向けて全力を尽くす所存です。

しかしながら同時に、逃れようのないこの出来事を通して、フワフワした今までを見直し、地に足を着ける機会と捉えるべきなのかも知れません。もしかしたら絶好の機会なのかも知れません。

日本の近代以降は、欧米化からグローバル化、IT社会からAIの台頭、スピード感と共に渇望され続ける変化…などが大きな価値観として社会を覆い尽くして今に至ります。対して伝統文化はその対極の価値観を基に「ゆっくりじっくり」熟成され受け継がれてきました。前者のような価値観がもたらした現代の中空構造の隙間を埋めるのに、今だからこそ伝統文化との対峙は大いに有意義なはずです。

そんな事を図らずも、コロナ禍直前に2月5日に公立文化施設や地域の文化事業ご担当の皆さまにお話ししました。

私たちは「今まで通り、いつも通り」を旨に変らずに積み重ねてまいります。

是非ともその折のレジュメをお目通し下さい。