一日で「忠臣蔵」がわかり、同時に様々な伝統芸能に触れることができる企画公演。
「第4回 江戸まち たいとう芸楽祭」(江戸まち たいとう芸楽祭実行委員会主催、東京都、台東区ほか後援)のエンディングを飾る公演として企画制作を委託され、全面改装なった浅草公会堂で2月5日に開催されました。この公演は本来は2020年12月に行われるはずでしたが、コロナ禍の影響を受けて延期に延期を重ねてようやく実現に至りました。時期が2月になったことで、討入りではなく、殿中刃傷…即日切腹…いわゆる忠臣蔵…赤穂浪士討入の発端の事件にスポットを当てた構成で展開。また、浅草や台東区に縁のある方々を中心にご出演いただきました。
東家一太郎さん・美さんによる「殿中松の廊下」は浅野内匠頭の刃傷を止める梶川与惣兵衛を一人称で描く構成でドラマチックに幕を開け、林家正蔵師匠の「淀五郎」は若い歌舞伎役者・淀五郎の心情に深く共感を呼ぶ素晴らしい高座、人間国宝・神田松鯉先生の「赤垣源蔵 徳利の別れ」は客席を討入りの緊張感、高揚感に一変させ、弧の会が「二つ巴」で一力茶屋の遊興と討入を舞台狭しと熱量溢れる日本舞踊で表現。そして何より歌舞伎を“正しく”イジれる唯一の漫才師・母心が爆笑漫才(六段目「勘平切腹」漫才には感服)と共に進行役を見事に務め上げて下さいました。
実録「赤穂義士伝」と歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」の整合性をいかに取るか…工夫は必要でしたが何とかお伝えできたようです。
テーマを設け、企画のフィルターを通すことで、日本の伝統話芸はより品を保ち存在感を発揮すると思っています(存在感とは聴き手の「想像力を刺激する力」です)。また、講談や落語が地域文化と多くの接点を持っているため、地域文化の振興に資する様々な企画を創ることができます。
この公演の再演は言うまでもなく、各地域でこうした企画公演が実現することを願って止みません。
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