令和3年度 かながわ伝統文化こども歳時記

収容率50%の400席に対して1,000名を超える入場・観覧希望のお申込みがあったにも関わらず、コロナ感染者集の急増・高止まり、そして大雪情報などが重なり、会場の神奈川県立青少年センターにはキャンセルの電話が相次いだとのこと。ところが当日は多くのお客様がご来場され、会場の各コーナーには「賑わい」が生まれていました。親子でのご来場・参加も期待以上でした。本来ならば昨年8月に実施するはずでしたが、第五波の影響により2月11日に延期となりようやく開催できました。直前まで開催できるのか?どのように実施するのか?青少年センター、舞台スタッフ、運営スタッフ、そして出演者の皆さまと、見えない正解の中で”詰めに詰め”ての開催でした。

◆青少年センター 1階ロビー:相模里神楽垣澤社中の迎囃子の中、体験コーナーの開始。湘南の「片瀬こま」コマ回し。茅ヶ崎の今宿松尾大神神輿保存会「相州神輿」の展示とお話、記念撮影も。紙芝居文化推進協議会による「ふるさとに伝わる昔話」。

◆紅葉坂ホール 第一部:ひとみ座乙女文楽 修了生の会 高校生による「二人三番叟」伝承の成果を披露。相模里神楽垣澤社中、若手による活気溢れる「両面踊り」「寿獅子」の後、相模ささら踊り(愛甲、長谷、秦野各ささら踊り保存会)の皆さんの休演により、活動を映像でご紹介。スズキ拓朗さんが率いるコンテンポラリーダンスカンパニー・CHAiroiPLINによる「SASARA」は、ささら踊りの本質をコンテンポラリーダンスのフィルターを通して表現。会場の子供たちをも大いに沸かしました。大いに共感できるステージでした。

◆紅葉坂ホール 第二部:伝統芸能でめぐる<かながわの名勝>「江の島物語」。講談師・宝井琴鶴さんによるナビゲートで、江の島の歴史や文化的背景をご説明いただき、山田流箏曲の名曲「江の島曲」で田中奈央一さんらの演奏が江の島の情景を描き出し、筑前琵琶・藤高理恵子さんと胡弓・木場大輔さんによる創作「天女と五頭龍」で神の島・江の島誕生の物語をお伝えし、能・観世流の秘曲「江野島」の後半クライマックス…龍神飛び去り場面を鎌倉能舞台・中森貫太さんの豪華な装束による勇壮な舞で披露。宝井琴鶴さん、藤高理恵子さんは神奈川県出身です。

郷土芸能と劇場系伝統芸能の本質的な相違点を踏まえ、施設全体を用い、神奈川県の文化資産を楽しみながら今に伝える文化事業でした。

江戸木版画摺り体験

「ふるさとに伝わる昔話」  紙芝居鑑賞

「相州神輿」展示

「片瀬こま」コマ回し体験

ひとみ座乙女文楽       修了生の会

講談師・宝井琴鶴さんによるご案内

山田流箏曲「江の島曲」

「天女と五頭龍」

観世流「江野島」