城端曳山祭

富山県南砺市城端で継承されている「城端曳山祭」が2023年5月5日、四年ぶりに挙行されました。

街の皆さまにとっても文字通り“満を侍して”の開催であったことと思います。
豪華絢爛な曳山とその曳山を先導する庵屋台で唄われる庵唄の深遠なる価値ゆえに、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つに認定されています。
この穏やかな街で300年の節目を迎えた 曳山巡行…祭が中断されるという空前絶後の事態は、ただでさえ次世代への継承に大きな課題を抱えている現状にそれなりの打撃を与えたことは間違いなく、随所にご苦労やご尽力の形が伺えました。
しかしながら、観光による地域振興の時流に乗ることなく、城端と言う街の価値そのものを体現する曳山祭と庵唄を等身大で再現し得た意味はとてつもなく大きかったのではないでしょうか。
城端神明宮の神々、山鉾、獅子舞、そして六ケ町の曳山と庵屋台の巡行。「じょうはな庵」「荒町庵」での庵唄の所望を全身で体感できた二日間の城端滞在…伝統文化の継承の難しさを受け止めつつも、久々に富山の銘酒の美味さが身に沁み、ほろ酔い気分で祭の楽しさに浸ることができました。
 
5月20日(土)21日(日)、「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり2023」に、城端東下町・庵唄〈宝槌会(ほうてつかい)〉の皆さんをお招きし、神楽坂の街を流していただきます。
五箇山で産出した上質な絹糸を反物にし、城端の絹織物商人たちは「加賀絹」として京都や江戸で商いました。その折身に付けた江戸の端唄が庵唄として今に継承されています。人の手から手へ伝えられ、時間と共に熟成度を増す文化……庵唄の“お江戸への里帰り”、ひいては文化の本質の意味をお伝えしたく行われる宝槌会の皆さまによる“流し”は必見です。
 

城端庵での「所望」。六カ町の一つ、大工町の千枚分銅冠友会の庵唄を聴く。演奏前に詞章が書かれた短冊を戴く儀礼。短冊を受けるのは古典空間・久保有希。

この「所望」は『神楽坂まち舞台・大江戸めぐり』において、東下町の東耀山、宝槌会の皆さまにご披露いただいている。