『怪談』講談師 神田山緑のこわい噺

9月2日(土)、静岡県の川根本町文化会館にて「『怪談』講談師 神田山緑のこわい噺」が、無事終了しました。
山あり谷あり、対向車待機…静岡駅から乗用車で1時間半強の山道を超えた山中の小さな町・川根本町。
集客が心配されましたが、80名を超える方々がご来場下さいました。地域柄、高齢者のお客さまが中心になるであろう…との当初の予想でしたが、小学生と思われるお子さん連れのご家族が多く、山緑さんは前半の演目を、予定していた静岡ゆえの地元ネタ清水次郎長伝』から、『西遊記』より「芭蕉扇」に急遽差し替えて読んで下さいました。お子さんは20名を超えていたかと思われます。
後半の本題『四谷怪談』「伊東快甫の最期」は、難解な言葉が伝わるか…の懸念がありましたが、最後まで喰い入るように高座を見つめる文字通り真剣な眼差しが印象的でした。
町の方々からは「本物の芸を体験できた」との言葉が寄せられているそうです。
今回の劇場環境を考慮した舞台美術や照明も、講談初体験のお客さまの満足度に繋がったことは間違いありません。講談という話芸が喚起する想像力を程よく刺激する”品のある怖さ”を感じました。(株)シアターワークショップ舞台技術部、俵山公夫さんの美術と淀みない舞台進行、照明・望月圭介さんの絶妙なタイミング…回を重ねる毎に“阿吽の呼吸”を感じます。

ところでこの公演では、冒頭に
講談初体験のお客さまに向けて講談入門のミニレクチャーがリクエストされました。山緑さんと共に前座宝井小琴さん、楽しくも分かり易く“空気を温めた”後、小琴さんが『村越茂助誉れの使者』徳川家康の実直な家臣の逸話を小気味よい読みぶりで披露。期待の若手です。

できる限り丁寧に地域に寄り添う内容で構成することの大切さを改めて思いました。こうした地道な普及活動こそ、各地で継続的に実施してきたいものです
 

川根本町文化会館ロビー

終演後、お客さまとの記念撮影